トマトの概要
科目 | ナス科 |
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適正pH | 6.0〜6.5 |
輪作期間 | 3〜4年 |
種・苗 | 苗がおすすめ(農家で買うと安いよ!) |
植付株間 | 1条(列)で株間50〜60cmが目安。 |
陰・陽 | 陽性植物(強日光大好き!) |
畝の形 | 幅70cmの平畝(高畝がいい) |
支柱 | 2.4m程度のものを垂直に立てます。 |
マルチ・トンネル | 梅雨の間はマルチをして梅雨が開けたらマルチ撤去。トンネルは気温が低ければ設置。 |
元肥量 | 中央に溝を掘り、堆肥3kg/㎡・肥料100g/㎡ |
追肥量・間隔 | 1段目の実がピンポン玉サイズになったら30g/㎡(これはあくまで目安なので葉の状態を見て判断) |
コンパニオンプランツ | ニラ、にんにく、パセリ、落花生 |
受粉 | 自家受粉で虫媒 |
主な栄養素 | β-カロテン、リコピン、13-oxo-ODA |
出身地 | 南米アンデス山脈の高原地帯出身。乾燥・昼夜の温度差が大きい。 |
栽培カレンダー
5月以降(地域による)
6月頃から1月毎に30g/㎡
これはあくまで目安でトマトの先端の葉を見て判断(後述)
7月〜9月
(うまく育てればね…)
トマトの栽培手順
畑の準備
トマトはナス科ですがナスとちがって肥料は少なめの環境を好みます。これは出身地がアンデス山脈の高原地帯で土地があまり肥沃ではないから。
ちなみに日本の土壌も基本痩せているから栄養面では相性がいいのかもしれません。
また、乾燥が好きで日本の梅雨は苦手です。高畝にして水はけの良い環境を用意してあげると喜びます。
- 土作りは遅くても植付の2〜3週間前までに行う(微生物が堆肥を分解するための時間)
- 1㎡あたり堆肥3kg、肥料100gを土に混ぜます
最初にトマトを植える畝の中央に幅30cm、深さ30〜50cmの溝を掘ります。
元肥(もとごえ)として1㎡あたり堆肥3kgと肥料100gを使います。半分を混ぜ合わせ溝の底に敷きます。残りの半分を掘り上げた土に混ぜます。
堆肥と肥料を混ぜた土で溝を埋め戻して土作り完了です。
高さ15〜20cm、幅70cmの畝を作りマルチングをして植付までの間、土壌細菌による堆肥分解を待ちます。
苗選び
元気な苗はその後もぐんぐん成長します。家庭菜園ではそんなにたくさんトマトを植えなくても十分なので苗を買うほうが手間もかからず個人的にはおすすめです。ミニトマトなら1株から200〜300個くらい採れます。
- 節と節の間が程よく詰まっている
- 株元がしっかりしている
- 葉が元気で色が黄変していない
ただ、種から挑戦してみたい!という人は是非やってみてください。手をかければかけるほど愛着がわき大切に育てたくなりますよ。市販されていない種類のトマトを種から育てても楽しそうですよね。
苗を買うときは近くに農家さんの直売がないかチェックしてみてください。ホームセンターで販売しているものより元気なものが安く手に入ることがあります。
普通1株300〜400円程度するものも直売では100円で売っていることがあります。
植え付け
植付時期は十分に暖かくなってから!トマトの育成温度は20〜30℃です。ちなみに気温が35℃を超えると果実に色がつかなくなります。リコピンは高温に弱いんです。
平均気温が20℃を超えたゴールデンウィークくらいが植付ベストタイミングです。だいぶ早く苗の販売は始まると思いますが焦らず暖かくなるのを待ちましょう。
植え付ける場合はあらかじめマルチングに株間50〜60cmで穴を開けておきましょう。
- 水を入れたバケツに苗をドブンと浸し底面から水を十分に吸わせましょう。
- 根の先端(根毛)を切らないように気をつけながらポットから苗を取り出します。
- マルチの穴にそっと苗を入れ土をかぶせて付け根の周りの土を手でしっかりと締め固めます(ここ重要!)
- 細い支柱を苗の茎に対して斜めに差し、その交点を8の字に紐で縛ります。
その後3日間は水を与えず根を張らせます。というかその後も水やりは基本不要です。少し心配になりますが問題ありません。トマトは乾燥を好みますから。
植付ワンポイント!
花がついている方を通路側に向けて植えると果実も通路側に付き、その後の管理が楽になります。トマトは規則的に成長していくんです!
また、より原産地に近い環境にするために「寝かせ植え」という技もあります。苗を垂直に植えずに根に近い部分の枝を切り落とし(土に埋まる部分)、苗を寝かせて(根と茎を土に潜らせて)斜めにうえ付けます。
メリットは茎から生える不定根からも吸水や吸肥を行えるため収穫量と病害虫に対する耐性が向上します。
ただし、接ぎ木苗にこの寝かせ植えは適しません。せっかく接ぎ木をしたのに茎から生える不定根が土に潜るため接ぎ木の意味がなくなるからです。
接木苗とは根っこの部分(台木)に果実がなる上部(穂木)を接続した苗のことです。「味はイマイチだけど病害虫に強い台木」に「病害虫に弱いけど美味しい果実がたくさんなる穂木」をくっつけて最強の苗を作ったりします。ちょっと値段が高い。
支柱立て
支柱は2.4m程度の長いものを使いましょう。トマトはものすごい伸びます。
支柱を合掌造り形に組み立てる方法もありますが個人的にはオススメしません。上部でトマトの茎が密集し風通しも悪く管理が面倒です。
垂直に支柱を立て、それに沿わせるようにトマトの茎を縛っていきましょう。
また支柱を使わない場合は紐で上から吊り下げる方法もあります。紐を上から垂らす設備が作れる場合は支柱より紐のほうがコスパも管理も楽なのでオススメです。
整枝・仕立て
トマトは基本脇芽をすべて取り除いて育てる「1本仕立て」が基本となります。大玉トマトはこの仕立て一択。
中玉トマトとミニトマトは1本仕立ての他に第一花房下の脇芽を伸ばしていく2本仕立てが可能です。収穫量も増えてお得です。オススメ!
それ以上脇芽を育てると密集しすぎて風通しも悪くなり病害虫被害にもあいやすくなります。やめときましょう。
雨除け
植付時期がゴールデンウィークなのでその後の梅雨はトマトにはつらい季節。吸水しすぎて身割れを起こすこともあります。
そこでビニールマルチがオススメ。畝全体にマルチングをし、株元からも水が入りづらいようにしっかり土で密閉しておくとそこまで身割れを起こすこともありません。
ドーム型の支柱+ビニール屋根をつくり、周囲もビニールで囲う雨よけを作っている方もいますが個人的には手間とコストがかかって好きじゃないです(笑)強風で飛んでいくし普通にめんどい。
追肥
一般的には第一花房の実がピンポン玉程度になったくらいから1ヶ月に1回のペースで追肥を30g/㎡与えるのが基本です。
ただ、個人的には定期的に追肥をするというより先端の茎・葉の状態を見て判断するのがいいと思います。
主茎先端から15cm程度下の部分の茎経が1〜1.2cm、葉はお皿をひっくり返したくらいの曲がり。
茎が太く、葉と葉の間隔(節間)が狭くて葉が茂り、葉の曲がりが強い状態。
茎が細く、葉と葉の間隔(節間)が広くて葉色が淡く、葉がバンザイ下ように上を向いている状態。
このようにトマトの状態を見て追肥の判断をしましょう。
ただしトマトは基本的に肥料や水の上げ過ぎが嫌いな野菜であることは忘れないでくださいね。
わき芽かき、摘心、摘果
トマトは主茎と葉っぱの交点から脇芽が無限に生えてきます。1本仕立て、2本仕立て等仕立て方法を決めたらそれ以外の脇芽は生えたらすぐに手で折りましょう。
脇芽かきをする理由は限られた時間、限られた栄養を効率よく果実に回して美味しい果実を収穫するためです。
ハサミを使うと病気が広がると言われているので手で折ることをおすすめします。
脇芽って本当に無限に生えてくる上にすぐ大きくなるんです…だからほとんど毎日見に行く事になります。
摘心は支柱のTOPまで伸びたら行います。それ以上伸びられても困るので主茎先端を切断もしくはペンチで潰して成長を阻害します。これでトマトは残された果実に集中できます。
最後に摘果ですが中玉、ミニトマトは行う必要がありません。やる必要があるのは大玉トマトだけ。1房に3〜4個を目安にそれ以上できる果実、花は取り除きます。
これも収穫する果実を限定して良い実を収穫する(限られた栄養を回す)ことが目的です。こちら(人間)の都合です。
トマトの水やり
トマトは基本的に水やりの必要はありません。ただ昨今の異常気象によって35℃を超えるような猛暑や長く雨がふらず明らかに乾燥しているときは水をあげることも必要になります。
水をあげる場合は朝に水をあげてください。夕方に水をやると徒長(茎が細く節間が間延びした状態)の原因となります。
話は少しそれますがトマトの茎からヒゲのような根っこが生えることがあります。気根(きこん)といいます。
根が傷み栄養分の吸収がうまく行っていないときや水分不足、根詰まりで発生します。生えてきたときはトマトの様子を見て対応してあげてください。
収穫
家庭菜園やっているなら完熟トマトを是非収穫しましょう!
お店に売られているトマトは早いうちから収穫して出荷作業、店頭に並ぶ時間も加味して収穫していると聞きます。
調べたところお店に並ぶ4日前のまだ実が青いうちに収穫し徐々に熟してお店に並ぶ頃に真っ赤に熟れるそうです。
もちろん家庭菜園では出荷する必要もなく自分たちが食べるのが目的なので畑で完熟したとびっきり美味しいトマトを是非味わってください。ガクが反ったら収穫のタイミングです!
トマトの収穫は実を掴んでもぐとガクの部分がくっついてきません。お店にあるみたいに見栄えの良いもぎ方はガクの上の少し膨らんだ部分を支点に指先を使って折り曲げます。
果実とガクが一緒にくっついた状態で収穫できて見栄えがいいです。お店で売られているみたいに美しく収穫できます。
収穫時のトラブル!
トマト収穫のときたまに発生するがっかり事例はトマトのお尻が黒くなってしまうこと(尻腐れ病)
これはカルシウム不足が原因です。土壌中のカルシウムが不足している、土壌の乾燥や窒素肥料過多によってカルシウムがうまく吸収できていない状態です。注意しましょう。僕は以前、いいのができた!と思ったら尻がばっちり腐ってました(笑)
トマトのおすすめ品種
- 農林水産大臣賞に輝く
- 生育旺盛で病気に強い
- 着果性が良い
- 果肉はしっかりとし日持ちがよく、割れはほとんど発生しない
僕が利用している菜園で隣のおっちゃんが苗をくれました。小さい苗でしたが大きくしっかりとしたトマトに育ちました。強くてオススメです!
その他トマト情報
原産地
トマトの原産は南米ペルーのアンデス高地と言われています。西斜面沿いの高原地帯ペルー。標高は1000〜2000m付近。結構高い場所ですよね。
このあたりの気候は砂漠に似た気候でとっても乾燥しています。雨が少なく強い日光と昼夜の温度差が特徴的です。
この環境どこかで聞いたことがありませんか?そうですコーヒー豆の産地と似ています。コーヒー栽培は標高の高さ、気温の高低差を利用して味に締まりを出しています。
トマトも同じような環境が原産地なのであれば乾燥と気温の寒暖差によるストレスを与えると味に締まりが出るかもしれませんね。
そう考えると日本の夏の気候は高温多湿でまるっきり逆の気候…実はトマト結構苦しいのかも?いや、絶対苦しい。特に梅雨なんて最低過ぎますよね(笑)
酸味と甘さのバランスの取れた美味しいトマトを作るために原産地の気候を理解しているのといないのでは大きな違いになるはずです。あなたもトマトの声を聞きながら日々のトマト栽培に励んでください。
- 雨が少なく砂漠のように乾燥している
- 標高が高く昼夜の寒暖差が激しい
- 標高が高いため空気が薄いから紫外線が強い
また、この気候の特徴を見てもわかるように現地の土壌は決して肥沃とは言い難い。だからトマトは気根を出してまで水分・養分を集めようとします。
水分と養分の吸収能力が高いトマトに水と肥料の与えすぎるとメタボトマトになっちゃいます!くれぐれもご注意を!
不健康なあなたは必見!トマトの栄養素
100gあたりのカロリー
- 29kcal(ミニトマト約10個分)
100gあたりの三大栄養素
- タンパク質:1.1g(4.4kcal)
- 脂質:0.1g(0.9kcal)
- 炭水化物:7.2g(28.8kcal)
脂肪燃焼効果が期待される物質です。ダイエッターは要チェックです!
食黄色野菜に多く含まれ強力な抗酸化力を持ちます。体内でビタミンAにも変換されます。人体の粘膜、皮膚、免疫機能の正常化に役立ちます。視力を維持するために必要不可欠な成分です。
骨や腱などの結合タンパク質であるコラーゲンの生成に必須化合物。ビタミンCが不足するとコラーゲンが不足し血管がもろくなります。ビタミンCはストレスや風邪に対する抵抗力もアップさせます。
鉄欠乏性貧血を予防する効果があります。ぶっ倒れた事がある人は是非トマトを召し上がってください。
ちなみにトマトを食べると血中アルコール濃度を3割減らし、アルコール分解速度もアップする効果もあると言われています。びっくり!飲んべぇばんざい!