野菜の育て方

ナス(茄子)の栽培方法・育て方【基本】

ナスの概要

科目 ナス科
適正pH 6.0〜6.5
輪作期間 4〜5年
種・苗 苗がおすすめ(農家で買うと安いよ!)
植え付け株間 1条(列)で株間50〜60cmが目安
陰・陽 太陽が好きな陽生植物
畝の形 幅70cmの平畝
支柱 1.8m以上の支柱2〜3本/株(すごく大きくなるから!)
マルチ・トンネル 地温安定シルバーマルチ!もしくは肥料袋で囲う
元肥量 畝中央に溝を掘り、堆肥3kg/㎡・肥料200g/㎡
追肥量・間隔 第一果ができたら2週間ごとに50g(一握りちょい)
コンパニオンプランツ パセリ(香りで除虫)、ネギ(拮抗菌が防病)
受粉 自家・他家受粉で虫媒
主な栄養素 栄養素は特になし。あえて言うなら食物繊維とポリフェノールが多め
出身地 インド東部。熱帯地域で日射量が多く雨も多い。日本だと石垣島みたいな感じ!

栽培カレンダー

植付時期

5月以降(地域による)

追肥

6月頃から2週間毎に50g/㎡

収穫

7月~10月
(うまく育てればね…)

ナスの栽培手順

畑の準備

ナスは「肥料食い」と言われてたくさんの栄養を必要とします。もともと原産地がインド東部と言われ雨も多く肥沃な土壌出身の野菜です。栄養豊富な畑を用意してあげましょう!

土作りのポイント!
  • 土作りは遅くても植付の2〜3周間前までに行う(微生物が堆肥を分解するための時間)
  • 1㎡あたり堆肥3kg、肥料200gを土に混ぜます。

まず最初にナスを植える畝の中央に幅30cm、深さ30~50cmの溝を掘ります。

1㎡あたり堆肥3kg/㎡と肥料200gを使います。半分を混ぜ合わせ溝の底に敷きます、残りの半分を掘り上げた土に混ぜます。

堆肥と肥料を混ぜた土で溝を埋め戻して完了です。

高さ10cm、幅70cmの畝を作って植え付けまで土壌細菌の堆肥分解を待ちます。マルチングをする人はこのタイミングでやっちゃいましょう。

苗選び

自分で種から苗を育ててもいいですが家庭菜園の場合ナスはそんなに本数を必要としないため苗を買うことをおすすめします。家族4人で3株もあれば足りると思いますよ。

苗選びのポイント!
  • 花を付けている
  • 葉の色が濃い
  • 茎が太い

苗を買う場所ですが一般的にはホームセンターだと思います。大体金額は一株300円~400円程度。

ただ近くに農家さんが直売している場合もあるので自分のシェア畑で昔からやっていそうなベテランさんから情報を聞き出すといいですよ。

僕の場合は近くの農家さんで『苗選びのポイント』にかかれている条件をすべて満たしたしっかりした苗が100円で売っていました。

あとは接木苗もいいです。ちょっと金額が高いですが病気に強くて連作障害の影響も受けにくいというメリットがあります。

植え付け

植え付ける時期は十分に暖かくなってから!ナスの育成温度は20〜30℃です。

ナスの苗は基本ぬくぬくの温室で育っているので寒さに弱いです。しかも原産地がインド東部で熱帯地域。日本でいう沖縄くらいの気候なので寒さには弱いです。

平均気温20℃を超えたゴールデンウィークくらいがいいですね。ホームセンターで苗を販売し始めるのが4月入ったあたりでだいぶ早いですけど焦らず暖かくなるまで待ちましょう。

植え付ける畝にマルチングをしている場合は株間隔50~60cmで先に穴を開けましょう。

  1. 水を入れたバケツに苗をドブンと浸し底面から水を十分吸わせます。
  2. 根の先端(根毛)を切らないように気をつけながらポットを外します。
  3. 穴にそっと苗を入れ土をかぶせて付け根の周りをしっかり押さえます。
  4. 細い支柱を苗の茎に対して斜めに差し茎との交点を優しく8の字で縛ります。

その後3日間は水を与えず根を張らせます。

根は水を求めて伸びるんですが、最初水を与えると根が土表面でしか伸びずにその後の生育と強風に弱くなってしまいます。しかも最初に水を上げるとその後もずっと上げ続けなければいけなくなってしまいます。

人間もナスも甘やかせて育てるとろくなことがありません。

植え付け後の苗は寒さに慣れていない(ぬくぬくの温室で育苗されている)ためトンネルをかけます。もしくは肥料袋+支柱で囲って保護します。これを行灯(あんどん)といいます。

2週間程度は露地気候に慣れるためにトンネルや肥料袋養生はそのままにします。トンネル、肥料袋の高さになるまでそのまま放置しても問題ないです。

整枝

苗が大きくなってきたら枝を整理します。

ナスは2本の枝を伸ばす2本仕立て(V字仕立て)もしくは3本仕立てで育てます。

  • 一番花のすぐ下の脇芽だけ伸ばしそれより下の脇芽はすべて取り除きます。(V字仕立て)
  • 一番花の下2本の脇芽を残しそれ以下をすべて取り除きます。(3本仕立て)

おすすめはV字仕立て。管理が楽。

支柱立て

枝を整えたら残す枝に沿って支柱を斜めに取り付けます。

ナスの実は重たいので枝を補助するためにも支柱はしっかりと取り付けたほうがいいです。それとナスはかなり大きくなるの短い支柱は使わずはじめから1.8m以上の長い支柱を使ったほうが後で交換する必要がなくて楽です。

追肥

第一果がなり始めた頃から2週間毎に50g/㎡(一握りちょっと)の肥料を与えます。

追肥は基本的にどの野菜も花がついたり実がなったり野菜が栄養を必要とする時です。野菜は『成長』と『実付』に栄養をたくさん使います。だから最初の花が咲いたときが目安。

ちなみにナスの花を見ると栄養状態を確認できます。中央の雌しべが周りの黄色い雄しべよりもながければ栄養状態◎
逆に雄しべより雌しべが短ければ栄養が足りていないので追肥するといいですよ。

追肥を上げるときのポイントは「場所」と「まき方」です。
野菜の根っこは地上の葉っぱの広がりと同じ位(同じ半径くらい)土の中で伸びています。

そして、栄養を吸収する部位は根っこの先端です。だから追肥をする場合は株元ではなくて根っこの先端、つまり地上の葉っぱの先端の場所です。

そこに肥料をパラパラとまきます。肥料をまいたあと土を必要以上にほぐすといけません。なぜなら栄養を給するための根っこは土の表面近くにあるからです。根っこを傷つけてしまいます。

ナスは「肥料食い」「ナスは水で作る」という言葉があるくらい肥料と水を必要とする野菜です。

こまめに追肥や水やりはしましょう!

収穫・摘芯

収穫は株が疲れないように早めの収穫を心がけたほうがいいです。また収穫は朝がおすすめ。日中に光合成で作った糖質をよる実に蓄えるから。

そして2本仕立て、3本仕立てで残した枝から次々と脇芽が出て花を付けます。株を疲れさせず収穫時期を伸ばすために枝の整理をします。

  1. 脇芽が伸びて花がついたら花の上の1枚の葉を残し枝先端を切ります(摘芯)
  2. ナスが大きくなったら収穫する。
  3. 収穫したナスの下から伸びている脇芽を残し枝を切ります。
  4. その脇芽に対しても①~の手順で枝の整理をします。

これを繰り返して枝の整理を継続的にしていきます。

摘心をすることで限られた時間(夏〜秋)の中で最大限果実を収穫できるように無駄なくエネルギーを使うことができます。

とはいうものの、これがなかなか続かない(笑)

更新剪定(やらなくてもいい)

気温が高くなって株の生育が鈍ってきたら更新剪定をします。そうすることで株が復活し秋ナスを収穫することができます。

更新剪定の目安時期は7月下旬~8月上旬です。

  1. 各枝の葉っぱを2~3枚残してバッサリと枝を切り落とします。花や実が残っていても構わずやっちゃいます。
  2. 次に株元から30~40cmのあたりで円を描くようにスコップを入れ根を切ります。スコップを差し込んだ部分に肥料と水をたっぷりと与えます。

弱っていた株が元気を取り戻し約一ヶ月後に秋ナスが収穫できるようになります。ただ最初にも書きましたがきちんと摘芯をして株が元気だったら更新剪定する必要はありません。

ナスのおすすめ品種

 

千両二号
  • トンネル、夏秋どり用を中心に広範囲な作型で品質と栽培性に定評のある長卵形品種。
  • 果実の色は濃黒紫色でツヤがよく、果ぞろいが良い。
  • 果皮はやわらかくて品質がよく、調理の幅が広い。
  • 節間はやや長い。草勢旺盛でスタミナがあり果実の肥大が早い。長期栽培でも生産が安定して多収。

タキイ種苗株式会社ホームページより

千両二号は入門編におすすめです。美味しいし定番だからみんな育ててます。

その他ナス情報

原産地

ナスの原産地はインド東部です。

インド東部の気候は熱帯地域。日射量が多く年中温暖、豊富な雨量がある環境です。直下には熱帯雨林が広がります。

日本には四季がありますが原産地のインド東部葉年中温暖。多年草のナスはワンシーズンの野菜ではなく木のように大きくなり数年は生きます。そのことを踏まえてナスを栽培するとナスが喜ぶ栽培ができるかもしれませんね。

寒さに弱く、水と栄養が大好きなナス。真逆の環境である日本で元気に育ってもらうためには工夫が必要ですね。

ちなみに同じナス科でもトマトは真逆で南米アンデス山脈の高原地帯が原産。乾燥していて、昼夜の温度差も激しい。だから水も肥料もナスの半分で十分足ります。

ナスとトマトは同じナス科だけど同じ畝に植えないほうがいいです。管理が面倒になりますから。

不健康なあなたは必見!ナスの栄養素

100gあたりのカロリー

  • 22kcal

100gあたりの三大栄養素

  • タンパク質:1.1g(4.4kcal)
  • 脂質:0.1g(0.9kcal)
  • 炭水化物:5.1g(20.4kcal)

特筆すべき栄養素はモリブデン、ビタミンK。また紫の皮にはナスニンと言われるポリフェノールの一種が含まれています。

ただ93%が水分です。ナスはほぼ水分なんです(笑)あの大量の肥料成分はどこへ消えたのやら…

ナスSサイズ1本(72g)あたりのカロリーは16kcalです。

  • ウォーキング:6分
  • 掃除機かけ:6分
  • 登山:3分

このくらいの時間でカロリー消費します。